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"Tenement," この言葉はピッタリとした日本語が無い。家屋、住宅、貸し部屋と訳されることが多いが、"決して豊かではない人たちが狭いところ押し合いへし合い生活する空間" とでも言えばいいのだろうか、そんな tenement に19世紀から20世紀前半にかけて、主にヨーロッパ諸国からアメリカの地に移り住んだ人たちが暮らしていたのが、Lower East Sideにあるこの家屋であり、当時の生活を垣間見ることが出来る貴重な博物館なのである。

この博物館は、個人が勝手に当時の家屋に入って行くわけでなく、ガイド付きのツアーが、"Irish Outsiders," "Hard Times," "Shop Life" 等といったテーマに別れてあり、興味のあるテーマを自分で選んで参加することになる。僕が行った時には、既に "Irish Outsiders" は定員に達していたため、"Hard Times" という10名程のツアーに参加した。

まず、名前とどこから来たのか、そして祖先はどこの国かもガイドから尋ねられこのツアーが始まった。このツアーで一緒になった人たちは僕以外は皆アメリカ人で、Madison, Wisconsin や St. Paul, Minnesota 等からで、イタリア系やドイツ系、アイルランド系等さまざまだった。

部屋の中を撮影することは禁じられていて撮影は出来なかったが、ヨーロッパからこの新天地アメリカ・ニューヨークで新たな人生を始めるために移住して来た人たちは、こんなに狭く苦しいところで大勢生活していたことを思うと、どれだけの苦労があったことか。当時のままの状態で保存されている家具や台所用品といった生活用品を見ていると、まるでタイムマシンでその時代に戻されたような感じがした。この真夏のニューヨーク、部屋の中はエアコンも扇風機も無く、とても暑い状態だったが、当時の生活もこのままの環境であったわけで、そんな暑い体験をも貴重な経験となった。

 

ツアーが終わり外に出ると、空気がとても新鮮だった。5階建てのこの赤煉瓦の家屋に、1863年から70年余り、なんと 7,000 人ものヨーロッパからの移民たちがここで大変な生活をしていたことを思うと驚いてしまう。2時間程のこのツアーはとても意義のあるものだった。

Tenement Museum の斜向かいには、こんな目を見張るような青い斬新なビル。 当時、アメリカに移住してきた人は、この近所にこんなビルが将来出来ることなんて予想だにしなかったであろう。
 
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